日本ボードゲーム界の至宝「鈴木銀一郎」氏がデザイン!

戦国大名カードゲーム「くにとりっ!」は、ボードゲーム界の至宝「鈴木銀一郎」氏がデザインを担当しています。

デザイナーズ・ノート

「くにとりっ!」とは

本ゲーム「くにとりっ!」は、2~6人用「デッキ型カードゲーム」です。

あなたは無名の一大名として、他大名の動きに注意しながら、
内政と戦いのバランスをうまく取り、天下一の大名を目指します。
いま治山治水で手に入れた銀子を、楽市楽座につぎ込むか、築城するのか、
はたまた鉄砲足軽を雇って戦力強化を図るのがいいか?
織田・豊臣・武田・上杉・・・オールスター総登場の戦国絵巻の始まりです!

「デッキ型カードゲーム」とは

デッキ型カードゲーム」とは、ゲーム中にプレイヤーが自分のデッキを成長させていくタイプの
カードゲームです。プレイヤーは全員同じ構成の小さなデッキを持ってゲームを開始し、
それぞれ独自の戦略でカードを増やしてデッキを成長させていき、勝利を目指します。
ゲームを進めていくうちに、プレイヤー全員のデッキが誰とも異なる道を歩み始めることでしょう。
プレイヤーごとに自分が使用するデッキが異なるという、どことなくTCG(トレーディングカードゲーム)を
連想させるシステムですが、1つのパッケージで複数のプレイヤーが遊べるなど、
TCGとは異なる特性を持っています。
また、カード種類が比較的少なく1つのパッケージで全てのカードが揃うこともあり、
TCGに対して高いハードルを感じている方にも気軽に楽しんでもらうことができます。

各カードの役割について

 武将カード

本ゲームにおいて、勝負の行方を大きく左右する、もっとも重要なカードで、製品に8種類、プロモーションカードで2種類、全10種類存在します。

武将カードは、他のプレイヤーと「勝利点カードの獲得」を賭けて争う“合戦”を仕掛けるために必要となるカードです。

カードの右下に書かれている数字が“戦闘力”を表し、“合戦”に参加したカードの“戦闘力”の合計値を比べあって勝敗を決することになります。こうして“合戦”に勝利したプレイヤーは、結果に応じて勝利点カードを獲得することができます。(※負けた相手から奪うわけではありません)

この武将カードをうまく使いこすことこそが、「天下一の大名」としてゲームに勝利する道への一歩と言えるでしょう。


 軍団カード

“合戦”に参加することができるカードで、全7種類存在します。

軍団カードは、防御側として参加する場合、単独で“合戦”に参加させることができますが、“合戦”を仕掛ける攻撃側として参加させる場合には、必ず武将カードが率いてなければなりません。

また、アクションを増やすことのできる“合戦”以外でも役に立つ軍団カードなどが存在し、内政を整える上でも重要な鍵を握るカードとなっています。


 勝利点カード

ゲームに勝利するために必要な“勝利点”をもつカードで、全3種類存在します。

勝利点カードは、財力カードなどを使って購入したり、“合戦”に勝利したときに獲得することができます。

また、勝利点カード以外にも勝利点が増えたり減ったりするカードがあります。


 内政カード

ゲーム中で一番使用頻度の高いカードで、製品に12種類、プロモーションカードで1種類、全13種類存在します。

主に、カードを引く能力の【ドロー】やカードを購入するためのコストを生み出す能力【財力】をもち、自分のデッキを強化するための新たなカードを取得していくための中心的な役割を果たします。

特に【ドロー】のできる内政カードと【アクション】を増やす軍団カードをうまく組み合わせることで、1ターンの間で自分のデッキにある全てのカードを引ききる、ということも珍しくありません。


 財力カード

購入エリアにあるカードを購入するために必要となる【財力】を生み出すカードで、全3種類存在します。

“合戦”をしない内政中心の戦略を選んだ場合、最終的には財力カードでたくさんの【財力】を生み出して勝利点カードを取得していくことになります。

デザイナーズ・ノート

『ドミニオン』を初めてプレイして、面白いゲームだと思った。

「金をつぎ込んだプレイヤーが勝つ」というTCGへのアンチテーゼとして、「みんな公平な条件でデッキづくりを楽しもう」というコンセプトが素晴らしい。

しばらくはプレイヤーの立場で楽しんでいたが、『ドミニオン-陰謀』が出たところで、分析を始めた。非常に汎用性に富んでいると思った。ただし、欠けている要素もある。

しかし、『ドミニオン』の変形ゲームをデザインしようとはついぞ考えなかった。

せっかく、ゲーム業界が盛り上がっているのに、それに水を差すようなすることはしたくない。

ところが、依頼されてしまったのである。

『ドミニオン』の戦国時代版カードゲーム。


差別化については、考えるまでもなかった。

『ドミニオン』にはキャラクター性がない。ゲームにキャラクター性を導入するのは現在(特に日本では)大流行なのにである。戦国時代版なら、当然、戦国大名を固有名詞で登場する。個々の戦国大名が登場すれば、合戦は欠かせない要素である。その2つを軸にすれば、はっきりした差別化ができるはずである。


いちばん悩んだのは手札の枚数だった。『ドミニオン』は、最初のデッキは10枚で、5枚をドローする。10枚、5枚というのはごく自然に思いつく数で、そのことには著作権は発生しない。

ただし、10枚の内容が3枚の勝利点、7枚の財力という点まで同じにするのはどうなのだろうか。著作権侵害までは行かないかもしれないが、だれだって『ドミニオン』を真似たと思うことだろう。

そこで、先発ゲームに敬意を表する意味からも、手札5枚というのは踏襲すまいと決心した。


では、4枚なのか、6枚なのか。6枚では最初から高額のカードが購入でき、大味なゲームになりそうである。4枚にするしかないと思ったが、それだと展開が地味になりそうだし、運の要素が強すぎることにもなりそうだ。

そこで、手札が増えるのと同様な効果について何かないか考えてみた。

思いついたのは「オープン可能」(製品版では「布陣可能」)というシステムである。「オープン可能」のカードは「軍団カード」に限れば、合戦のシステムも楽になるだろう。

これなら、手札がどんどん増えていき、『ドミニオン』よりも劇的な展開になるはずだ。


システムの中心が決まれば、いよいよカードづくりの段階に入る。

戦国時代のキーワードを挙げ、思考実験をしながら、それの効果を考えていく。

「新田開発」、「楽市楽座」、「検地」、「矢銭の徴収」、「金山」、「関所の廃止」、「名物茶道具」・・・。

軍団カードとして、「鉄砲足軽」、「騎馬兵」、「弓足軽」、「農民兵」、「常備兵」、「天下の名城」・・・。(「常備兵」は後に「槍足軽」となった)

武将カードとして、「織田信長」、「徳川家康」、「豊臣秀吉」、「上杉謙信」、「武田信玄」・・・。 (最初は8枚だった)


『ドミニオン』は25種の「王宮カード」から10種を選んでプレイする。だから、毎回違ったカードの組み合わせが楽しめるというのが1つのウリである。

ただし、わたしは10種に限定するのはプレイ時間コントロールの役目も果たしているのではないかと考えていた。

戦国時代版は武将1人につきイラストが1枚必要なので、そのほかに25種ものカードはつくれない。そこで、全てのカードを使用し、時間コントロールは勝利点カードのみで行うことにする。


合戦については、最初は負けた方にもペナルティがつくというルールにしていた。

しかし、テストプレイをしてみると、ペナルティに拒否反応を示すプレイヤーがほとんどだったので、勝った方だけにボーナスということにした。


こうして第1バージョンができ、去年のJGCのわたしのテーブルで公開テストプレイが行われた。

結果は、おおむね好評ということで、アークライトさんにプレゼンテーションということに。

そこで、出た結論は、どうせ武将を入れるのだから、もう少し合戦を楽しめるようにしたら・・・ということだった。

いわれてみればその通り。武将の数も2枚増やし、さらにプロモカードの挿入も可能ということになったので、そこから改めて大改造。

「若き日の武将」や、「内助の功」をプラスし、ほぼ製品版と同じ形になった。

『戦国大名カードゲーム・くにとりっ!』の最終テストプレイの段階では、相手の出方を見て柔軟に作戦を変えていかなくては、なかなか勝てないゲームになっていたので、狙いは実現できたのではないかと思っている。

お蔭様で売れ行きも好調なようで、このままの勢いが続けば『くにとりっ!2』の企画も考えられるとのこと。

『2』では、「軍団」カードと、「内政」カードのほかに「戦略」カードを導入しようと構想を練っているところである。


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